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高森明勅
2020.6.1 06:00皇室

皇后陛下がカイコのお世話

5月29日、皇后陛下は皇居内の御養蚕所(ごようさんじょ)にて、
8~9センチ程に育った純国産種のカイコ「小石丸」に、
皇居で育てた桑の葉を丁寧にお与えになった(給桑、きゅうそう)。

その時、カイコが桑の葉を食べる微(かす)かな音に、
穏やかに耳を傾けておられたという。
皇后陛下のお優しさが伝わる。
皇居での皇后陛下の御養蚕は、明治天皇の皇后だった昭憲皇太后が
明治4年にお始めになったのが起こり。

途中、同6年の火災で蚕室が燃えて一旦、中断したことも。
大正3年には御養蚕所が建てられ、歴代の皇后が受け継いで来られた。
今の皇后陛下の御養蚕を巡っては、小学生時代に生物部のリーダー
であられた事実を思い出す。

当時、田園調布雙葉(ふたば)小学校で生物部を担当しておられた
岸田泰則氏の証言。

「雅子さまは生物部のリーダーで、学科の成績もよく、
才能の豊かさを感じました。
自宅からイモリを持ってきて遊んだり、私が山で捕(と)ってきた
ヘビと遊んだり、いつも生き物と一緒にいる女の子でした。
…雅子さまは、皇后になられる1年ほど前に、美智子さまから
皇后の大切な仕事とされる養蚕のお仕事を引き継がれると発表
されました。
それまで一部に『雅子妃は虫嫌い』『元外交官は蚕に触れない』と
風評があったのに呆れました。
雅子さまほど養蚕を楽しまれる方はいらっしゃらないでしょうから」

それにしても、全く事実からかけ離れた「風評」がまことしやかに
語られていたものだ。
皇室について、今後もそうした事実に基づかない情報が、
様々な形で流される恐れがある。
くれぐれも警戒しなければならない。

なお、昨日の「愛」という語の初出を巡るブログで『孟子』の引用に
脱字があったので以下のように訂正する。
→愛人者人恒愛之、敬人者人恒敬之

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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